転生令嬢~彼が殺しにやって来る~
 殺した?
 ジャクリンは確かに今、殺したと言った。
 だが、苦しさで声の出ない私には何も発する言葉を持ち合わせていない。

「貴方はもう何度も死んでいるの、知らなかった?」

「俺達が殺して転生させたのさ。 それだけではない。 お前に地獄の苦しみを存分に味合わせる為に俺とジャクリンもついてきた、優しいだろ?」

「貴方はここで何度も転生を繰り返しているの。 もちろん、そうさせたのは私達」

「なのにお前には転生前の記憶がない。 俺達の計画では転生前の地獄の記憶は消えないはずだった」

「貴方はどうやら夢の中の出来事だと思っていたようね」

「何度殺しても結果は同じ、お前は呑気にネヴィルを見てばかりだった。 地獄どころか何も覚えちゃいない」

「私達の計画を知った何者かが邪魔して、貴方の記憶を消したとしか思えなかった。 だから憎い貴方に近付いて正体を探ろうとしたのに」

「まぁ、それも今となってはどうでもいい事だ。 フロタリアはネヴィルと結婚しないのだからな」
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