昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
その後迎えた、中間テスト。
どうなることやらと思っていた数学だけれど、受けてみれば手応えがあって、自分で自分に驚いた。
あれ以降もわからないところを教えてくれた、雨夜くんのおかげだと思う。まったく雨夜くん様々だ。
そしてさらに、別のところでもいいことがあった。
みっつめの目標として設定していた〝クラスメートへの挨拶〟を、達成することができたんだ。
それは、テスト期間中の出来事。
早めに登校してみたら、なんと川本さんがもう来ていて。自分の席に着いて、ひとりで勉強していた。
予期せぬ展開だったから、くるりときびすを返して教室を出て行ってしまいそうになったけれど……でも、今を逃してどうするんだって、自分を叱咤激励して。
グッとお腹に力を入れて、息を吸って声を出した。
『お、おはよう……!』
わたしの声に反応して顔を上げた川本さんは、意表を突かれたようだった。
けれどすぐに表情をやわらかくして、『おはよー』と言ってくれたんだ。
無視されなかった。嫌な視線も向けられなかった。
笑顔が返ってきたことに、泣きそうになった。
……きっと。
この調子できっと、頑張っていける。少しずつでも進んでいける。
そうしたらいつか、首を真っすぐ伸ばして歩けるかもしれない。友達と楽しく笑い合える、なんて日がくるかもしれない。
けれど、長く影を背負ってきたわたしが、そんなにトントン拍子で進んでいけるわけがないんだ。
次の試練は、ちゃんと待ち構えていた。