昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う

「……っ」


予期していなかった展開に、頭が真っ白になる。どうしよう。どうすればいいの。

けれどすぐにハッとする。対角線上に、ディフェンスのついていない矢崎さんがいるのに気づいたんだ。


その矢崎さんが、雨夜くんに重なる。

そうだ。これは、公園で雨夜くんがしてくれた応用練習の、まさにその図だ。


「〜矢崎さん……っ!」


認識した瞬間、声が出た。

距離は遠め。全身を使って、ボールを送り出す。


矢崎さんの手に、わたしからのパスが渡る。


矢崎さんがターンして体の向きを変える。

ダム、と一度のドリブル。そして。


――パスっ!

矢崎さんが放ったレイアップシュートは、しなやかにリングをくぐり抜けた。


「おっしゃー!」


矢崎さんが、ガッツポーズで跳ねる。

体の奥底から、ぶわっと何かが湧き上がってきた。


熱。感動の熱だ。入った。パスが通った。それらしいプレーができた。

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