昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
「あ。永田さん、おはよー」
「……っ⁉」
聞こえるはずのない声が飛んできて、わたしは一歩目で固まった。
幻聴だろうかと、信じられない思いで顔を上げる。矢崎さんが、こちらに向かってヒラヒラと手を振っていた。
「……え……えっ⁉︎」
うそ、わたし……? 自分のことを指差して、アワアワと口を動かしてしまう。
そんなわたしを、矢崎さんはハッと鼻で笑った。
「いや、ほかに誰がいんのよ」
「……!」
あきれたような言い方。でも嫌な感じじゃない、まるで友達に対するみたいな、親しみがこもった言い方だ。
目の奥が熱くなる。伝導して、目頭が熱くなる。
一時的なものだって。
なかったことになるだろうって……思っていたのに。
「〜おはよう……!」
感動のままに、大きな声を出してしまった。
矢崎さんは猫目をきょとんと丸くして、それからぶははっと爆笑した。