昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
一番ホームは、ローカル線が出ている場所だ。
それは知っているけれど、一度も利用したことはなくて。だから今日、雨夜くんがどこに行くつもりなのかまったく見当がつかない。
「……あっ」
たどり着いた一番ホームには、もう雨夜くんの姿があった。
水色のシャツに濃いベージュのチノパンという服装。構内の壁にもたれるようにして立っていて、すらりと長い足がいっそう強調されて見える。
前髪は軽くセットされていて、大人っぽさがぐんと増していた。
「……っ!」
キュンと胸を反応させたそのとき、雨夜くんがこっちに気づいた。
目が合って、整った顔がやわらかく崩れる。
「永田さん!」
テノールを綺麗に響かせて、わたしのほうに駆けてきてくれる雨夜くん。
その姿が完璧なあまり、自分の服装にますます自信がなくなる。
けれど雨夜くんは、不安な気持ちを瞬時に溶かしてくれるんだ。
「おはよう」
「お、おは……」
「永田さん、花柄似合ってるね。すごく新鮮」
「……っ!」
……やっぱり、もう、雨夜くんは。
ぶわっとほおが熱くなる。きっと顔は、猿みたいに真っ赤だ。