昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う

そうして話して笑ってを繰り返しているうちに、電車はトンネルに入った。

ゴウッという音とともに、車窓がしばらく真っ黒になる。


そして電車がトンネルを抜け、あたりに光が差した瞬間。


「わ……!」


わたしは思わず、歓声を上げてしまった。

だって……流れる景色が、海になっていたから。

キラキラときらめく、広大な海。窓は閉まっているのに、潮の香りがただよってくるよう。


「ここまで来たら、もうバレちゃったか」


そう言って眉を下げて笑った雨夜くんは、次にまさかのタイトルを口にした。


「“きみに好きと言わない”」

「え……」

「永田さんのおすすめの本。実は少し前に読み終えてたんだ。海のシーンが印象的で……だから、永田さんと行きたいなと思ってて」


その言葉に、さっき覚えたばかりの感動が倍増する。

すごい。なんて嬉しすぎるサプライズなんだろう。

あの小説は、わたしも海のシーンがお気に入りで。

雨夜くんがそこを気に入ってくれたことも嬉しいし、読み終えてわたしと海に行きたいと思ってくれたことも……ああもう、感動ポイントが多すぎて、頭の中が忙しい。
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