昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
雨夜くんにだけは、ちゃんと自分の言葉で、間違いのない事実を伝えたい。
色々な葛藤があった末。放課後に突入したであろうタイミングで、わたしは家を出て学校へ向かった。
美和のことがあったから、やっぱり昨日までよりも、うつむく角度が大きくなってしまう。
ここ最近は、顔を見られることに恐怖を覚えなくなっていたというのに。毎秒ごとに、自信がごっそり削られていく。
それでもなんとか、すべて削られてしまう前に、校門までたどり着くことができて。
クラスメートと鉢合わせしないようにと願いながら、わたしはこそこそと南館へ入っていった。
図書室に着いたのは、ちょうど図書委員も出ていった時間だった。
「は……っ」
だれもいない室内に入った瞬間。膝の力が抜けて、わたしはその場にしゃがみ込んでしまった。
両手を組み合わせて、必死にふるえをおさえる。そうやって、頭の中を整理することに集中した。
雨夜くんに、まずは謝らなくちゃ。
昨日は驚かせてごめんねって。それから……何を言えばいいだろう。
美和が、いじめの原因を作った子だってことを説明すればいい?
美和に何を言われたかって、聞けばいい?
「……っ」
その名前を口にすると思っただけで、ふるえはますますひどくなる。