昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
◇
ーー深く深く、海の底まで沈んでしまったみたい。
学校に向かう電車の中。
ガタンゴトンといろんな方向に揺られながら、わたしはそんなことを思っていた。
朝の満員電車はいつだって、まるで水の中にいるかのように息苦しい。
当然といえば当然だ。せまい空間にぎゅうぎゅうに詰め込まれて、みんなが酸素を取り合っているんだから。
でも、理由はそれだけじゃなくて。一番の原因はわたし自身。
首が折れそうなほどうつむいて、みずから空気の通り道をふさいでしまっているからだ。
電車に乗っている時間は、おおよそ四十分。
けっこう長くて、しばらくすると首根っこのあたりがじんじんと痛み出す。
それでも……痛くても苦しくても、顔を上げるわけにはいかないんだ。
近距離で顔を見せるわけにはいかない。
わたしの外見は、人を不快にさせてしまうから。
「まもなく、常和台(じょうわだい)―。常和台です」
うつむき続けていよいよ首が落ちそうになったころ、電車はやっと、高校の最寄り駅に到着した。
この春から新一年生として通い出したばかりの常和高校は、駅から徒歩五分の立地にある。
ーー深く深く、海の底まで沈んでしまったみたい。
学校に向かう電車の中。
ガタンゴトンといろんな方向に揺られながら、わたしはそんなことを思っていた。
朝の満員電車はいつだって、まるで水の中にいるかのように息苦しい。
当然といえば当然だ。せまい空間にぎゅうぎゅうに詰め込まれて、みんなが酸素を取り合っているんだから。
でも、理由はそれだけじゃなくて。一番の原因はわたし自身。
首が折れそうなほどうつむいて、みずから空気の通り道をふさいでしまっているからだ。
電車に乗っている時間は、おおよそ四十分。
けっこう長くて、しばらくすると首根っこのあたりがじんじんと痛み出す。
それでも……痛くても苦しくても、顔を上げるわけにはいかないんだ。
近距離で顔を見せるわけにはいかない。
わたしの外見は、人を不快にさせてしまうから。
「まもなく、常和台(じょうわだい)―。常和台です」
うつむき続けていよいよ首が落ちそうになったころ、電車はやっと、高校の最寄り駅に到着した。
この春から新一年生として通い出したばかりの常和高校は、駅から徒歩五分の立地にある。