昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う

これってもしかして……クラスの女子のランク分けみたいなこと、してるよね?


背中にゾッと寒気が走る。聞きたくない内容だし、そもそも立ち聞きはいけない。

いったん立ち去ろうと、きびすを返しかけたとき。


「そうだ、アイツ! 永田はどうよ?」

「……っ!」


自分の名字が耳に飛び込んできて、心臓が変な方向に大きく跳ねた。

教室内で、ぶははっと、バカにしたような笑いが起きる。


「はっ、問答無用でDだろ!」

「顔がどうとか以前に、暗いよなー。まわりにコケ生えそう!」


次々に聞こえてくる厳しい言葉たちに、わたしはしばらく呼吸を忘れた。


問答無用で、D。多分、一番下のランク。

全否定の衝撃が、弱い心を思いきり殴り飛ばす。


ブス。キモい。いじめられていたときの罵倒がよみがえりそうになり、あわてて心の中で唱えた。


大丈夫、大丈夫。べつに直接、怖い言葉を投げつけられたわけじゃない。

それにわたしには、雨夜くんとの交換日記があるんだから……。


けれどそんな逃げ道を作ったとき、わたしは唐突にある疑問を抱いた。

そういえば雨夜くんは、わたしの外見について、どんな風に想像しているんだろう……?


【いじめられる前に戻りたい】


そんな文章を見られたのだから、雨夜くんは、わたしが希望にあふれた学校生活を送れていない、ということはわかっているはず。
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