昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
お母さんが暮らしているお家を、雨夜くんが訪問するかたちらしい。
『わたしたち……っ、自分のために、過去に向き合えないかな……?』
わたしの必死の訴えかけに、気持ちに折り合いをつけてうなずいてくれた雨夜くん。
あれ以降、わたしたちの交流は復活した。
雨夜くんの仕事がかなり忙しくて、会うことはできていないけれど。
でも連絡先を交換できたから、毎日なんとか時間を合わせて電話している。
真剣な話も、たあいない話もする。
話して聞いて、気持ちを渡し合って、共有している。
『俺は、永田さんが思ってくれているような人間じゃないよ』
雨夜くんはそう言っていたけれど、電話で話す雨夜くんは、やっぱり優しかった。
『……もしもし、永田さん?』
スマホから出てくる声は、やわらかくて。
だから、前から持っている雨夜くん像に、とくに大きな変化はない。
ただ……ちょっと体がキツいとか、朝起きにくいとか。明日の仕事内容が憂鬱だとか。
雨夜くんは、そういう少しの弱音を、わたしに吐いてくれるようになった。
会えてはいなくても、前よりずっと、雨夜くんの存在を近くに感じている。
今日はひとりじゃない。頑張るのは、雨夜くんも一緒なんだ。