昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う

………よし。

心を決めたわたしは、寝間着から私服に着替えて、リビングに出ていった。


「おはよう!温美!」


ふわっとしたトーストの匂いが鼻腔をくすぐり、お母さんの笑顔がわたしを迎える。


「おはよう!」


わたしも、心からの笑顔を返す。

ウソいつわりない、内側からわき出るような笑顔だ。筋肉を無理やり動かしたりなんて、していない。


『~おかあ、さん……っ』


二年分の真実と、本音をぶちまけたあの日。

それからお母さんとわたしは、またなんでも話せる親子に戻っていった。


雨夜くんのことも矢崎さんたちとのことも、わたしはもう、変に装飾したりウソを混ぜたりして話していない。

ありのままのわたしの日常を話して、お母さんはそれを嬉しそうに、あいづちを打って聞いてくれる。


「温美、座って座って!」

「えっ、わっ」


キッチンで水を飲んでいたら、お母さんに肩を押されて食卓に連れていかれた。


イスに座らされたと思ったら、次は目の前に、やけに分厚いトーストが置かれて。

しかも表面には、たっぷりとチョコクリームが塗られていて、思わず目をぱちくりさせてしまう。

だっていつもの朝食は六枚切り食パン一枚で、塗るのはマーガリンくらいなのに。


「え……なんか今日、すごく豪華だね?」

「たまにはいいでしょ」


お母さんにニヒッと笑われ、ああそっか、と察する。
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