昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
◆
「ラジオ体操第一。腕を前から上にあげて、大きく背伸びの運動から――」
その日。俺が目覚めて最初に聞いた音は、それだった。
音の出どころは居間だ。
寝ていた部屋から居間に行ってみると、祖母がテレビに向かって両腕をブンブン回していた。
テレビでは、聞いた音の通りラジオ体操がかかっていて。
女の人が伸びやかに、見本の動作を行っている。
「おはよう……どうしたの?」
「ん? ああ、おはよう。起きたのかい」
腕を動かしながら、祖母は俺のほうを振り返ってニカッと笑った。
「手術のために体力をつけとかなきゃいけないだろ。だから毎日、やろうと思ってね」
「……!」
大きく開かれた口から発された言葉に、うっかり涙腺を刺激される。
「涼も一緒にどうだい」
「……遠慮しとくよ」
苦笑いしてみせつつ、本当のところは声がふるえないようにと必死だった。
涙が落ちないよう、ギリギリでこらえていた。
「ラジオ体操第一。腕を前から上にあげて、大きく背伸びの運動から――」
その日。俺が目覚めて最初に聞いた音は、それだった。
音の出どころは居間だ。
寝ていた部屋から居間に行ってみると、祖母がテレビに向かって両腕をブンブン回していた。
テレビでは、聞いた音の通りラジオ体操がかかっていて。
女の人が伸びやかに、見本の動作を行っている。
「おはよう……どうしたの?」
「ん? ああ、おはよう。起きたのかい」
腕を動かしながら、祖母は俺のほうを振り返ってニカッと笑った。
「手術のために体力をつけとかなきゃいけないだろ。だから毎日、やろうと思ってね」
「……!」
大きく開かれた口から発された言葉に、うっかり涙腺を刺激される。
「涼も一緒にどうだい」
「……遠慮しとくよ」
苦笑いしてみせつつ、本当のところは声がふるえないようにと必死だった。
涙が落ちないよう、ギリギリでこらえていた。