昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う


来てほしくない。

どんなにそう願っても、朝は必ずやってくるって。わたしはそのことを、いやというほどよく知っている。


空は白んで、隠れることのできる闇はどこかに消えてしまって。

気持ちとは真反対の、澄んだ青色が頭上をおおって。


そうして息苦しい一日が、スタートしてしまうんだ。


「いいなぁ、文化祭」


ゴールデンウィーク最終日の朝。

食卓についたわたしの向かいでトーストをほおばりながら、お母さんが言った。


我が家の朝食は、きまってトースト一枚だ。

六枚切りにマーガリンを塗ったもので、けっしてボリュームがあるわけではない。

けれど、サクサク食べ進めるお母さんとは反対に、わたしはなかなか食が進まなかった。


なにせ今日は、文化祭当日。

ずっとゆううつに思っていた日が、とうとうやってきてしまったのだ。

きっと今日は、すごく長い一日になる。


「楽しんできてね!」

「……うん!」


朝食を食べ、身支度を整えたあと。

見送ってくれるお母さんになんとか作り笑いをしてみせて、わたしは嫌々学校に向かった。


背骨を丸めた、いつも通りの登校スタイル。

けれどゴールしたそこには、いつも通りでない学校が待ち受けていた。
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