昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う

建物は同じなのに、全然雰囲気が違ったんだ。

校門のところには、立派なアーチ。アーチには七色のペーパーフラワーが並べて貼られていて、まるで虹のようになっている。

ゴールデンウィーク前には、片鱗もなかったもの。

上級生たちが数日前から、一気に準備を進めたんだろう。


華やかさに早速ヒットポイントを削られつつ、のろのろと校内に入る。

するとそこにも、いつもとは違う景色が広がっていた。


壁という壁に貼られた、色とりどりのチラシ。風船や輪飾り。

せわしなく動く上級生たちの頭には、ハチマキが巻かれていたりする。


「ここに置いといた小道具知らない!?」

「あ!こっちに移動させたよー!」


元気よく飛び交う声。学校をあげてのお祭りで、空気そのものがソワソワしているのが伝わってくる。


居心地の悪さから逃げるように一年三組に入っても、それは同じだった。


「ね、何から回る!?」

「桃太郎のパロディー劇、面白そうだよね!」


ワクワク、ドキドキ。浮き足立った空気に、わたしだけが溶け込めない。

まるで自分だけ、遠い異国に追いやられたみたいだ。
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