昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う


わたしの毎日。それは、極めて単調だ。

学校に行って、授業を受け終わったら家にUターン。だって「放課後、街に寄り道しよー!」なんて、イレギュラーなことは起こり得ない。


家に帰ってまずすることは、洗濯物の取り入れ。

取り入れたらたたんで、次はお風呂を洗って……と、いくつかの家事をこなすのが日課になっている。


我が家は、母子家庭だ。

お父さんは、わたしがまだ幼いころに亡くなって、それからはお母さんとふたり暮らし。

お母さんが帰ってくるのは、いつも夜遅いんだ。


「ただいまー!」


今日玄関のドアが開いたのは、午後十時をとっくに回ったころだった。

自分の部屋から廊下に出たわたしは、明るく「お帰りー!」と声をかける。

外では絶対にできない、満面の笑みで。


……家族と他人って、全然違う。

家族は完全にわたしを受け入れてくれる存在だってわかっているから、わたしはお母さんになら、ゆいいつ普通に接することができて。

それゆえに家の中では、〝昔の自分〟でいるように意識してふるまっている。


お母さんは、わたしが毎日うつむいて過ごしていることを知らない。

もちろん……中学時代に、いじめられていたことも。
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