昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
『キモいんだよ、こっち見んな』
『ブスがうつるー』
いじめを受けはじめたとき。わたしはその事実を、お母さんに相談することができなかった。
だって、お母さんたちからもらった顔をけなされているなんて、とても言えなくて。
きっと、すごく悲しませることになるから。
それにお母さんが仕事で無理をしていることも知っているから、これ以上の心労をかけたくなかったんだ。
「こんなこと……いつまで続けるんだろ」
お母さんと少し会話してから、再び引っ込んだ自分の部屋。
ぐったりと肩を落として、わたしは小さくつぶやいた。
わたしはお母さんに、ずっといつわりの自分を見せ続けている。
しかも、それだけじゃなくて。学校生活をうまくやっていると見せかけるために、たくさんの作り話もしているんだ。
今日は友達とこんなことをした。楽しい話をして盛り上がった。
そんな、現実には起こるはずのないウソ。
高校に入ってからも、それは同じで。
クラスメートはいい子ばかりで友達もたくさんできた……なんて、わたしの口はすらすらとウソをつむいでいる。
今さっきだってそう。
「……バカみたい」
なにをしているんだろうって、自分自身がおそろしい。
でももう今さら、後には引けなくて……。