昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う


春と夏。その境目は、ちょうど五月におとずれる。

五日までが春で、六日からが夏。暦の上ではおおよそ、そのように決まっているらしい。


……たしかに、ちょっと日差しが強くなったかもしれないな。


満員電車から降りて、学校へと向かっている朝。

むき出しになった腕に焼けつく感じを受けて、わたしはそう思った。


五月下旬の今の空気は、夏と呼ぶにはまだ暑さが足りない。

けれど日焼け止めが必要かな、と思う日は徐々に増えてきた。


そして……チリッと。先ほど腕に起こった感覚が、次は首の後ろに起こる。

あっと気づいて少しだけ頭を上げると、地面のみしかうつっていなかった視界が開けた。


確認できてしまう、自分と同じく歩いて学校に向かう生徒の姿。

思わずまたうつむきたくなったけれど、ぐっとこらえた。


だって……頑張ろうって。前を向こうって、決めたから。

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