視線が絡んで、熱になる【完結】
あんなに激しくて、でも興奮するようなセックスをしたことがなかった琴葉は何か違うことを考えていないとすぐに昨夜のことを思い出してしまいそうだ。
バスローブを脱いで浴室の大きな鏡で自身の裸を見て声を上げそうになった。

「…何、これ」

ちょうど鎖骨の少し下に二つの赤い跡がついていた。首を傾げながらも何度かそれを擦るが消えない。
虫刺されのようなその跡は内出血をしているようで昨日のシャワーの時点ではなかったことを思い出す。
数秒考えこむが、柊に抱かれている間確か首辺りがチクリと痛んだ気がした。

「…キスマーク?」

まさか、と思ったがそれにしか考えられなくなった。シャワーの圧を弱めながら鏡に映る自分の顔を見る。
柊は満足できたのだろうか。自分で良かったのだろうか。
シャワーを終えて髪を乾かしバスローブ姿のままリビングに戻ると柊がまたコーヒーを飲んでいた。
足を組み、iPadで何かを確認しているようだ。
まだ数回しか彼と一夜を過ごしていないがだいたいの彼の行動パターンはわかってきた
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