視線が絡んで、熱になる【完結】
琴葉は空腹もあってか、みるみるうちに皿の上の料理を平らげていく。
マルゲリータも濃厚なチーズが食欲を煽りあっという間に食べてしまった。柊はそんな琴葉を愛おしそうに見つめる。食べ終えると、二人で店を出た。

「どうだった?」
「美味しかったです!ご馳走になってしまってすみません」
「俺が誘ったんだ、当たり前だ」

車に戻る頃には満腹中枢が刺激され、一気に眠気が襲う。
トロンとした目で窓の外を見ているとカップルが仲良さそうに手を繋いでいた。
(手を繋ぐっていいなぁ)

「次は買い物だ。普段利用している店とかあるか?」
「全くありません。普段は…会社に着ていくような服ばかりで…営業部に配属になったから基本スーツですし…」
「そうか。じゃあ俺もあまり詳しくはないから色々見られるほうがいいってことか」

柊はそういうと一人で完結したように数回首を縦に動かす。
眠くなりそうな眼を必死に擦る。到着したのは駅近で商業施設がいくつも並んでいる。
近くの有料駐車場へ車を停めると二人同時に車から降りる。

「不破さんはこう言ったところへはよく来るのですか?」
「ん、たまーにな。休日も仕事の時も多かったからそこまで頻繁には来ない。それに騒がしいところは嫌いなんだ」
「そうなんですか?すみません、じゃあ…今日も…」

琴葉の語尾が小さくなっていく。
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