視線が絡んで、熱になる【完結】
こくり、無言で頷くと同時に柊が顔を近づける。
目を閉じた瞬間唇を塞がれた。柊はベッドに膝立ちをする状態で、琴葉の後頭部に手を回す。

「…ふ…ぅ、…」

舌をねじ込んでくるような深いキスかと思えば、今度はチュッと軽くリップ音を立てる、唇をついばむようなキスに変化する。琴葉はそれを受け入れるだけで精一杯だった。
角度を変えて繰り返すキスが昨日体を合わせた時のそれよりも長く感じた。
後方に手をついて上半身を起こしているのに必死だった。
がくがくと震える腕をとうとうどうすることもできずに重力に従って体をベッドへと預けた。

ようやく離れた唇は酸素を吸い込むのに必死だ。
大きく胸を動かして呼吸をしていると柊が顔を覗き込む。
ぎらつく柊の目を見て、下腹部に熱が生まれた。柊の腕が琴葉の体をひょいっと簡単に持ち上げてベッドの中心へ移動させる。
スプリングベッドの軋む音がやけに耳に残り、そしてそれが卑猥に聞こえる。
いつの間にか照明が薄暗く変化した。柊がバスローブを脱ぎ捨てるのを視界で捉えるが体は動かない。
静寂に包まれる中、柊が琴葉に覆いかぶさる。
彼の重さを感じたと思えば、次の瞬間には柊の唇が琴葉の頬や額、首筋に落ちる。

その都度、小さな声が漏れた。
そして、また琴葉の唇へ柊のそれが重なる。
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