視線が絡んで、熱になる【完結】
翌日も同様に目を覚ますと隣に柊がいた。
柊の方が早く目覚めているようなのに、琴葉が目覚めるときにはちゃんと隣にいる。

「おはようございます」
「おはよう」
「不破さん朝早いですね…すみません、もう少し早く起きたかったのに」
「いいんだ。昨日も無理させたようだから」

そう言って琴葉に手を伸ばし、頬を手の甲ですっと撫でる。猫にでもなったような気分がした。
今日は天気が悪いのだろう。カーテンの隙間から漏れ出る陽光がない。
まだボーっとして、半開きの瞼のまま天井を見る。

「そうだ。朝食を食べようと思って起こしに来たんだ」
「え…朝食?」

柊の柔らかな声とともに琴葉の声が若干大きくなった。
柊は“朝食は食べない”と言っていたが、休日は別なのかもしれない。

「昨日買っておいたパンに簡単に何か合わせるか…」
「不破さんって朝食食べないんじゃ…」
「普段は食べない。でも、琴葉もいるしせっかくならと思った。昨日買っておいてよかった」

確かに昨日は、スーパーへ寄る前に駅前のパン屋でいくつかパンを購入していた。
レーズンの入ったハード系のパンなどを購入していてお酒に合せていたから(ワインと)てっきりそれが目的だと思っていたらそれ以外にも買っていたらしい。

(そういえば、お腹空いたなぁ)
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