視線が絡んで、熱になる【完結】
「不破さんは、いつもは何をしてるんですか?家で」
「本を読んだり映画を観る」
「遊びには行かないんですよね」
人混みや煩いところは苦手だから、きっと家からはあまり出ないのだろう。
しかし、柊は首を横に振った。
「ジムにはよく行く。あとは…温泉も好きだ。そうだ、今度二人で行こう」
「え…温泉にですか?」
「うん。いいだろう。ゆっくり出来て」
「…はい」
「それから、いい加減下の名前で呼ぶように」
「あ…ごめんなさい。つい…」
「じゃあ、練習だ。ほら、言ってみろ」
突然の”下の名前呼び強制”に琴葉の顔が引き攣った。それに、こういう時の柊は“上司”の顔をするからピンと糸が張ったように緊張感が増す。
「しゅ…しゅう…さん」
何とか声にして柊の名前を出すと、彼は優しさを感じる瞳で琴葉を映す。
柊は満足そうに口元に弧を描き、琴葉、と名前を呼んだ。
どうしたってくすぐったいのは仕方がないのかもしれない。
日中は大きなテレビ画面で映画を観て、夜ご飯は琴葉が手作りの料理を作り、夜は二人で眠る。その日も昨夜と同じく柊に抱かれて眠った。
会うたびに体を合わせる。琴葉にとって好きな人と一緒に過ごせるのならばそれだけで幸せだった。
「本を読んだり映画を観る」
「遊びには行かないんですよね」
人混みや煩いところは苦手だから、きっと家からはあまり出ないのだろう。
しかし、柊は首を横に振った。
「ジムにはよく行く。あとは…温泉も好きだ。そうだ、今度二人で行こう」
「え…温泉にですか?」
「うん。いいだろう。ゆっくり出来て」
「…はい」
「それから、いい加減下の名前で呼ぶように」
「あ…ごめんなさい。つい…」
「じゃあ、練習だ。ほら、言ってみろ」
突然の”下の名前呼び強制”に琴葉の顔が引き攣った。それに、こういう時の柊は“上司”の顔をするからピンと糸が張ったように緊張感が増す。
「しゅ…しゅう…さん」
何とか声にして柊の名前を出すと、彼は優しさを感じる瞳で琴葉を映す。
柊は満足そうに口元に弧を描き、琴葉、と名前を呼んだ。
どうしたってくすぐったいのは仕方がないのかもしれない。
日中は大きなテレビ画面で映画を観て、夜ご飯は琴葉が手作りの料理を作り、夜は二人で眠る。その日も昨夜と同じく柊に抱かれて眠った。
会うたびに体を合わせる。琴葉にとって好きな人と一緒に過ごせるのならばそれだけで幸せだった。