視線が絡んで、熱になる【完結】
「そう言ってましたよね。ほぼ既存クライアントだって」
「そうそう。うちは大手の総合広告代理店だからねー。向こうからお願いしたいってくることの方が多いしクライアントが大きい企業が多い。そうなってくると足で新規案件を取ってくるような営業はしなくていいからね。むしろ既存クライアントを囲う方が優先順位は高い。でも新規案件を獲得するのはすごいなって思うよ」
「奏多さんは…すごいですね。私も頑張らないと」
「若いけど仕事できるやつだよ。琴葉ちゃんも十分物覚えいいし、すぐ独立できそうだけど」

涼が琴葉のことも褒めてくれるが、複雑な感情は否めない。年下の奏多に負けてられない。

「今日はねー、既存のクライアントさんのところにいって…理道にも行く予定。あ、そうだ…もしかしたら飲み会あるかもなー」

涼が両手を後頭部に当て、大きく顔を歪ませると天を仰ぐ。飲み会というワードに琴葉も眉間に皺を寄せる。

「…飲み会?」
「そうそう。まぁ営業は他の部署に比べるとそういう付き合い多いからね」
「そう、ですよね…」

今日は柊が琴葉の家に来る、と言っていたがどうやら延期になりそうだ。
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