視線が絡んで、熱になる【完結】
40代くらいの渋い光沢を放つスーツを着た男性と、今日会った美幸、それから柊もいた。
「は、初めまして!藍沢と申します」

すぐに正座した状態で挨拶をする。おそらくこの陽気な声を出した男性が“部長”と美幸が言っていた人物だろうと想像がつく。
名刺交換をして再度挨拶をした。
―鎌田栄二
ブランド戦略チーム部長と書かれてある。鎌田は迷わず上座に座り、その隣に美幸が座った。涼と琴葉の列に柊が座ろうとすると、美幸が口を開く。

「不破さんはこちらへどうぞ。そこじゃ狭いだろうから」
「いえ、問題ありませんから」
「大丈夫ですよ!別に接待とか堅苦しい飲み会じゃない。いつもお世話になってる不破さんたちと飲みたいだけですから!」

ガハハ、と大きな口を開けて笑う鎌田に、「じゃあ」と言って柊が美幸の隣に座った。
柊と鎌田、それから美幸はどうやら前からの知り合いのようだ。他の仕事で関わってきたのかもしれない。
しかし、美幸がやけに柊へ目線を送っていることにどういうわけか胸が痛む。

(…どうしたんだろう)

早速寿司をそれぞれ人数分頼み、お酒も同様に注文した。
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