視線が絡んで、熱になる【完結】
それを感じ取っているのかいないのか不明だが涼は飄飄と「先に戻ってます」といって琴葉たちから去っていく。
数秒間、琴葉と柊は見つめ合い微妙な空気感の中で何と口火を切っていいのか考えていた。
「戻りましょう」
ようやく声が出たが柊の視線に怖気づいてしまいそうになる。
早く戻らなければ、シャインの人たちを待たせることになる。柊だってそれをわかっているはずだ。
「体調良くないのか」
「いえ、大丈夫です」
「じゃあ、何故そんなに苦しそうなんだ」
「…」
「新木には言えて俺には言えないのか」
「別に涼さんに話しているわけではありませんし」
「じゃあ、“理由”はあるんだな」
「あ…」
誘導尋問のように口を滑らせて、琴葉はしまったという顔をする。
(言えるわけないじゃない。嫉妬してる、そんなこと言えるわけない)
また無言が続いた。柊の鋭い眼光に耐えられそうにない。すると、すっと柊の手が伸びてきた。
思わず目を眇めた。それが一度何かを躊躇するように止まったが、再度琴葉の頭の上に置かれる。
先ほど涼にされた事と同じことをする。
「…え」
「ムカつくな」
「…」
「他の男に触らせるな」
そういうと、「戻るぞ」と言って琴葉の手首を掴みスタスタと歩く。
たったそれだけなのに、涼に触れられた時とは全く違う反応をしてしまった。胸が早鐘を打つのは、柊に触られた時だけだ。やっぱりこれは恋、だ。
数秒間、琴葉と柊は見つめ合い微妙な空気感の中で何と口火を切っていいのか考えていた。
「戻りましょう」
ようやく声が出たが柊の視線に怖気づいてしまいそうになる。
早く戻らなければ、シャインの人たちを待たせることになる。柊だってそれをわかっているはずだ。
「体調良くないのか」
「いえ、大丈夫です」
「じゃあ、何故そんなに苦しそうなんだ」
「…」
「新木には言えて俺には言えないのか」
「別に涼さんに話しているわけではありませんし」
「じゃあ、“理由”はあるんだな」
「あ…」
誘導尋問のように口を滑らせて、琴葉はしまったという顔をする。
(言えるわけないじゃない。嫉妬してる、そんなこと言えるわけない)
また無言が続いた。柊の鋭い眼光に耐えられそうにない。すると、すっと柊の手が伸びてきた。
思わず目を眇めた。それが一度何かを躊躇するように止まったが、再度琴葉の頭の上に置かれる。
先ほど涼にされた事と同じことをする。
「…え」
「ムカつくな」
「…」
「他の男に触らせるな」
そういうと、「戻るぞ」と言って琴葉の手首を掴みスタスタと歩く。
たったそれだけなのに、涼に触れられた時とは全く違う反応をしてしまった。胸が早鐘を打つのは、柊に触られた時だけだ。やっぱりこれは恋、だ。