視線が絡んで、熱になる【完結】
「えぇ、たまに」
「そうなんですね。私は一人で結構飲みに来ますよ。ここも何度か利用したことがあります」
美幸は上目遣いで柊しか視界に入っていないように会話を紡いでいく。
二人が睦み合う光景を至近距離で見せつけられているようでやはり琴葉には辛い時間だった。
カクテルは飲みにくさもなく、まるでジュースのようにごくごくと飲めてしまうから、アルコールが入っていることを忘れてしまっていた。気づくと、全身に熱が溜まっているような感覚、眠気、それから視界がぼやけてきた。
トイレに行こうと立ち上がると酔いも相俟って体がよろめき、涼が咄嗟に琴葉の肩を抱いた。
「大丈夫?!」
「あ、すみません…トイレに」
千鳥足になりながらトイレを探して歩き出す。バーテンダーがトイレを探している琴葉に気づきすぐに場所を教えてくれた。
女性用のトイレのドアを開けて酔いを醒まそうとするが気を抜くと今にも視界が反転しそうなほど全身に力が入らない。明日も仕事だというのに、何をしているのだろう。
せめてもの救いは明日はフレックスを利用して11時出社ということだろう。
21時から入っている仕事があるからだ。涼は13時に出社するらしい。
トイレの鏡で赤みの帯びた自身の顔を見つめていると一人の女性が入ってくる。何やら電話をしているようだ。
彼女は琴葉のことをまるで透明人間でもあるように無視をして携帯電話を耳に当てながらもう一つ空いてている鏡の前に立つ。そして携帯電話ほどしか入らないのではと思うほど小さな黒の鞄から口紅を取り出して塗りだした。
「そうなんですね。私は一人で結構飲みに来ますよ。ここも何度か利用したことがあります」
美幸は上目遣いで柊しか視界に入っていないように会話を紡いでいく。
二人が睦み合う光景を至近距離で見せつけられているようでやはり琴葉には辛い時間だった。
カクテルは飲みにくさもなく、まるでジュースのようにごくごくと飲めてしまうから、アルコールが入っていることを忘れてしまっていた。気づくと、全身に熱が溜まっているような感覚、眠気、それから視界がぼやけてきた。
トイレに行こうと立ち上がると酔いも相俟って体がよろめき、涼が咄嗟に琴葉の肩を抱いた。
「大丈夫?!」
「あ、すみません…トイレに」
千鳥足になりながらトイレを探して歩き出す。バーテンダーがトイレを探している琴葉に気づきすぐに場所を教えてくれた。
女性用のトイレのドアを開けて酔いを醒まそうとするが気を抜くと今にも視界が反転しそうなほど全身に力が入らない。明日も仕事だというのに、何をしているのだろう。
せめてもの救いは明日はフレックスを利用して11時出社ということだろう。
21時から入っている仕事があるからだ。涼は13時に出社するらしい。
トイレの鏡で赤みの帯びた自身の顔を見つめていると一人の女性が入ってくる。何やら電話をしているようだ。
彼女は琴葉のことをまるで透明人間でもあるように無視をして携帯電話を耳に当てながらもう一つ空いてている鏡の前に立つ。そして携帯電話ほどしか入らないのではと思うほど小さな黒の鞄から口紅を取り出して塗りだした。