視線が絡んで、熱になる【完結】
「そうそう。今店でるから彼と。え?違う違う、彼氏じゃない。セフレ」
「…」
「だってただ会って“してる”だけだもん。付き合うって面倒でしょ?そういう関係って割り切った方が楽だよ」
一体何の話をしているのか皆目見当もつかないが、このバーのお客であろう彼女の会話が衝撃的でその場から動けずにいた。
背中がぞわっと冷たい外気にでも晒されたように温度が下がる。
口紅を塗り終えると琴葉を一瞥もせずトイレから出ていく彼女はカツカツと高いヒールを鳴らし、人工的な甘い香りをその場に放置していく。
「…セフレ?」
知らない言葉ではない。でも、琴葉と柊の今の関係はたった今去っていった女性が話していた関係そのものだった。
その言葉を諳んじるが不安定に空中に漂い、霧散していく。
(私たちの関係は…セフレだったんだ)
ショックや衝撃がないわけではない。しかし時間が経過すると意外にもストンと胸に落ちるものがあった。
自らそれでいいと思っていた関係だったからそこに関して文句はない。でも、セックスをするだけの関係であり、他人から見ればそれはそれでしかない。
「…」
「だってただ会って“してる”だけだもん。付き合うって面倒でしょ?そういう関係って割り切った方が楽だよ」
一体何の話をしているのか皆目見当もつかないが、このバーのお客であろう彼女の会話が衝撃的でその場から動けずにいた。
背中がぞわっと冷たい外気にでも晒されたように温度が下がる。
口紅を塗り終えると琴葉を一瞥もせずトイレから出ていく彼女はカツカツと高いヒールを鳴らし、人工的な甘い香りをその場に放置していく。
「…セフレ?」
知らない言葉ではない。でも、琴葉と柊の今の関係はたった今去っていった女性が話していた関係そのものだった。
その言葉を諳んじるが不安定に空中に漂い、霧散していく。
(私たちの関係は…セフレだったんだ)
ショックや衝撃がないわけではない。しかし時間が経過すると意外にもストンと胸に落ちるものがあった。
自らそれでいいと思っていた関係だったからそこに関して文句はない。でも、セックスをするだけの関係であり、他人から見ればそれはそれでしかない。