視線が絡んで、熱になる【完結】
ギュッと琴葉を抱きしめる力を強める柊に、気のせいです、とようやく口に出すが既に柊の手が琴葉のブラウスに滑り込む。

「っ…まって…」
「抱きたい」
甘く囁かれ、全身が痺れる。唾を呑み込み何とか平常心を保とうとするがすぐに柊の唇が耳たぶを愛撫し足が生まれたての小鹿のようにがくがくと震えだす。
「…やっ…ぁ、」
舌が耳たぶからうなじへ移動し、その間も器用にブラウスの中を弄る手に熱のこもった息が漏れ出る。
体は柊を求めている。その証拠に既に下腹部が疼いている。

「しゃ、シャワーを…」
「無理だ」

何が無理なのだろう、と思っているとひょいっと簡単に琴葉の体を持ち上げ、すぐ横に置かれているベッドへ琴葉を移動させる。
一瞬のお姫様抱っこにドキドキしてしょうがない。
「あのっ…」
ベッドの真ん中でブラウスが乱れた状態の琴葉を見下ろす柊の顔はいつにも増して艶麗で見とれてしまいそうになる。視界に柊だけが映るとすぐに唇を塞がれた。
触れるだけのキスではなく、すぐに舌が入り込む深いキスにくぐもった声が漏れる。
ベッドに縫い付けるように手首を掴まれ柊が主導権を握る今、ただ彼に身を任せることしかできない。
静かな室内で、唾液を交換する音が耳朶を打ち、思考を破壊するほどのとろけるキスに琴葉は意識を手放しそうになる。
彼の手が太ももを撫で、簡単にストッキングを脱がせる。柊の重みを感じながら、目を閉じた。

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