視線が絡んで、熱になる【完結】
会社へ戻る車中で涼がハンドルを握りながら思い出すように口を開く。

「あー、今日は21時から立ち会いだよ。遅くなりそうだけど大丈夫?」
「もちろんです。ちなみにこういうことって結構頻繁にありますか?」
「あるよ。ちゃんと超勤はつくから安心して。でも営業部だけ三六協定入ってないから」
「…そうですよね」

しんみりと相槌を打ち、視線を窓の外へ移した。

今日の帰宅は遅くなるだろう。でも、柊の自宅へ行くべきなのか迷っていた。待っているといわれたが、好きですと告白してしまった以上、以前のように接することはできない。

合鍵を返してほしいならばわざわざ家に来るように言うだろうか?

柊の考えていることが何一つわからないまま、琴葉は会社へ戻った。
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