視線が絡んで、熱になる【完結】
「…うーん、じゃあ別の会社かな?告白した子が、うちの社員ですかって言ったらしいよ。そうしたらそうだ、って言われたんだって」
「えぇ、ちょっとショック~。目の保養だったのに彼女いるのね?」
「らしいよ。今じゃ、彼女が社内にいるっていう噂を信じて誰なのかみんな捜してるって!ていうか、あなた旦那いるじゃない」
「いいのよ。目の保養は別!」

ちょうどエレベーターのドアが開いて二人が先に下りていく。
二人が完全にエレベーターから姿を消してようやく琴葉は息を吸った。
まさに二人が今していた会話は自分のことだった。心臓がとてつもない速さで動き出すから呼吸もまともにできなかった。

「…探してるんだ」

柊の彼女探しがどれほど浸透しているのかは不明だ。それに彼女だということがバレたとしても社内恋愛は禁止ではないし何も隠すことはない。
しかし柊の彼女は智恵のような美人であると皆が思っていることを知る。

もっと綺麗になりたい。
もっと綺麗になる努力をしたい。そうすれば、柊の隣を歩いても恥ずかしくはない。
いつの間にかそう思えるようになっている自分が好きだった。
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