視線が絡んで、熱になる【完結】
…―…


「おはようございます。昨日は歓迎会ありがとうございました」

一人一人にお礼を言って回る。智恵がパソコンの電源を入れながら「昨日はちゃんと帰れたの?随分酔ってたみたいけど」と琴葉に向かって言う。
一気に心拍数が上昇するが、かぶりを振った。

「帰りました。ありがとうございます」

そう、と素っ気なく返事を返されるが皆、琴葉が昨日柊の自宅へ泊ったことを知らない様子だ。
胸を撫でおろしつつ、椅子に腰かけると隣の席の涼へ耳打ちをする。

「昨日、私そんなに酔ってました?」
「あー、そうだね。あんなに酔うんだって驚いたよ。俺が途中まで介抱してたんだけど、マネージャーが俺が代わるっていうから」
「…マネージャーが?」
「そう。仕事じゃ血も涙もないって感じの人だけど意外に優しいところあるんだなぁ」

遠い目をして感心するように頷く涼の話を聞きながら、彼の言動があまりにも不可解すぎて整理できずにいる。

「おはよう」
「っ」
背後から今朝も聞いたばかりの声がして琴葉はビクッと肩を揺らす。


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