視線が絡んで、熱になる【完結】
♢♢♢

柊の許可をもらって、琴葉は事前に春樹へ連絡をしていた。
電話越しの彼は非常に嬉々としていてその声を聞くと尚更琴葉は戸惑いを隠せなかった。
どうして個人的に自分に会いたいのか、わからなかった。
金曜日、仕事終わりに近くのホテルのカフェで待ち合わせをしていた。
そのために仕事を早く終わらせていた。柊も一緒に来るというので、先に仕事を終えた琴葉は会社のエントランスで彼を待っていた。

『学生時代、一発ぶん殴ろうとしたやばい先輩のことなど印象には残っていても顔までは覚えていないだろう』

柊の話していた内容を思い出した。

(柊さん、殴ろうとしたの?)

それについては、軽くだけ話を聞いたが琴葉のことを遊びで付き合っていたと聞いて柊が普段関わりのない春樹のもとへ行き、殴ろうとしたらしい。
今の柊は冷静沈着という言葉が合う男性だ。いくら大学生時代といえ、そんなにも人は変わるだろうか。そのくらい今の柊のイメージにはそぐわない内容だった。
まさか柊が自分の知らないところで春樹に怒りをぶつけてくれていたことを何年も経過してからではあるが知ることが出来て良かったと思った。

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