視線が絡んで、熱になる【完結】
「なるほど。うちの営業は特にチームで動く案件も多い。それからわかっているとは思うが、企画や制作部などとも頻繁に打ち合わせをする。そこでの擦り合わせや認識に乖離が生じると全部一から、なんてこともある」
「…はい」
「でも、きっと藍沢なら大丈夫だろうと思ってるよ」
「え、」

沈んでいく顔を弾かれたように上げると、威圧的な柊はそこにはいない。代わりに優し気な目を向ける彼と視線が交わる。

「わからないことは、新木や俺に聞くこと」
「はい!」
「結果を出すのが営業の役割だ。藍沢なら優秀な営業社員になると思っている」

血も涙もないと涼が話していたが、そうでもなさそうだと思った。
上司として、部下を鼓舞する姿に琴葉は胸を打たれる。
だが、パタン、とノートパソコンを閉じて琴葉に向ける視線は、上司としてではなく完全に今朝見たそれだった。

「…で、残り10分だが」
「はい」
「なんで隠すんだよ。大学時代のこと」
「っ」

艶っぽい瞳は、お互い下着姿で見つめ合った時と同じだった。
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