視線が絡んで、熱になる【完結】
「あぁ、ごめんなさい、下で待っている予定だったの」
「いえいえ、初めまして。H&Kの新木です」
「初めまして!藍沢です」

女性は、細身のグレーのパンツスーツにオフホワイトの胸元にフリルのついたブラウスを着ていた。
七分丈のそれから覗く腕は触れたら折れてしまいそうなほど細くて白い。
それなのに挨拶の声が想像以上に大きくて驚いた。10センチ以上のヒールを鳴らして琴葉たちの正面に立つとすぐに名刺を出す。
慌てて琴葉もぎこちなさはありつつも名刺交換をする。名刺には“ブランドマネジメント部チームリーダー 西田美玖”と書かれていた。

ショートカットの似合う小柄な西田は琴葉の目には30代後半くらいに見えた。

西田の隣にいる男性とも挨拶を交わし、名刺交換をする。
“プロモーション部チームリーダー勝木陸”と書かれている。
勝木は西田と同様に細身の男性で年齢も西田と同じくらいに見える。細身だが身長は涼と同じほどあり(180センチほどはあるだろう)肌は日に焼けているのか浅黒い。そのせいか、やけに歯が白く見えた。
こちらに、と言って彼らの後に続き、会議室へ通された。
長いオフィステーブルにそれぞれが腰かけた。プロジェクターやパソコンもセッティングされている。

では、そう言って口火を切ったのは、西田だった。
細くて華奢な彼女からは想像できないほど声に張りがあって“自信”を感じた。琴葉はどう見られているのだろう。
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