視線が絡んで、熱になる【完結】
「そこまで思い出したくない過去なのか」
「…そりゃそうですよ。どこまで知ってるのか知りませんが、私には消したい過去です…初めてだって…」
―捧げた相手だったのに
それを言いかけたがやめた。理由は柊がじりじりと琴葉と距離を詰めてくるからだ。一歩ずつ、後ずさるが彼も同様に一歩ずつ近づいてくる。
コトン、足がソファにあたる感覚がしてこれ以上逃げ場がないことがわかる。
「…じゃあ、俺が塗り替えてやる」
「っ…いいです、何言ってるんですか」
「そのままの意味だ。昨日の続き、しよう」
「昨日?…じゃあ、私たち何もなかったんですか?」
「するわけないだろう。お前が覚えてないのにしたって意味がない。服を脱がせたのは、皺になるからだよ」
「…そうなんですか」
「そうだ、それとも抱いてた方が良かったか?」
ぶんぶんと勢いよく首を横に振り否定した。
昨日は何もなかった、ほっとした。記憶がないまま上司に抱かれるなんて人生の汚点そのものだろう。そもそもよく考えたら自分に欲情する男などいないだろう。
そう思うと少しだけ胸が痛んだ。
「…そりゃそうですよ。どこまで知ってるのか知りませんが、私には消したい過去です…初めてだって…」
―捧げた相手だったのに
それを言いかけたがやめた。理由は柊がじりじりと琴葉と距離を詰めてくるからだ。一歩ずつ、後ずさるが彼も同様に一歩ずつ近づいてくる。
コトン、足がソファにあたる感覚がしてこれ以上逃げ場がないことがわかる。
「…じゃあ、俺が塗り替えてやる」
「っ…いいです、何言ってるんですか」
「そのままの意味だ。昨日の続き、しよう」
「昨日?…じゃあ、私たち何もなかったんですか?」
「するわけないだろう。お前が覚えてないのにしたって意味がない。服を脱がせたのは、皺になるからだよ」
「…そうなんですか」
「そうだ、それとも抱いてた方が良かったか?」
ぶんぶんと勢いよく首を横に振り否定した。
昨日は何もなかった、ほっとした。記憶がないまま上司に抱かれるなんて人生の汚点そのものだろう。そもそもよく考えたら自分に欲情する男などいないだろう。
そう思うと少しだけ胸が痛んだ。