視線が絡んで、熱になる【完結】
翌朝

携帯のアラーム音が鳴る前に目覚めた。
目覚めたときには既に隣に柊の姿はなかったが、彼がいたであろう琴葉の隣に手を当てるとまだ人のぬくもりを感じられて思わず顔を綻ばせていた。
昨日は普段よりもよく寝たような気がする。目覚めがいい。それは慣れない部署異動での気疲れが溜まったせいで普段よりもぐっすり眠れたのか、はたまた柊が隣にいたからなのかはわからない。

でも、確かなことは柊に抱きしめられて眠った昨夜は緊張こそしたものの安堵して瞼を下ろすことが出来たということだ。

体を起こして、ベッド縁に腰かけたまま背伸びをした。そのまま立ち上がると壁一面にある本棚を通り過ぎカーテンを開けた。眩しい光が琴葉の体を照らす。
今日の天気も晴れのようだ。朝から天気がいいとやはり気持ちがいい。

そして、寝室のドアをそっと開けてリビングルームの様子を窺う。
柊が部屋着のままコーヒーを飲んでいるようでソファに腰かけてiPadを見ていた。

「おはようございます」
「あぁ、おはよう」

昨日、琴葉は間違いなく柊とキスをした。あの熱い接吻は夢でも何でもない、現実だ。
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