視線が絡んで、熱になる【完結】
何がしたいのか一番わからないのは琴葉なのでは、と思った。
着替えが終わり、昨日買ってもらった化粧品たちをリビングで眺めていた。出社までは時間がある。
ソファに座る柊の斜め前に腰かけて化粧をしていこうか迷っていた。そんな琴葉に気が付いたのか、柊が琴葉に目を向ける。
「どうした」
「いえ、化粧をしようか…迷っていて」
「するの一択だろ」
「…そうですよね」
「お前はお前のために、すればいいんだよ」
「…」
「努力する奴を笑うような社員は少なくともうちのチームにはいない。いるなら俺が許さない。だからしたいようにしたらいい」
「…わかりました」
上司の顔を見せる柊に自然に口角が上がっていることに気づく。昨日は、“一式ください”と柊が言ったのをいいことにブラシなどのツールも当然のように会計に含められていた為、高級ブラシがいくつか琴葉の目の前にある。
出社まで時間があるとはいえ、慣れていない化粧でおかしくなったら元も子もないから当初考えていた通りファンデーションとフェイスパウダー、アイブロウだけを施す。
それでも30分はかかってしまった。
…慣れないと朝から早起きしないといけないようだ。
なんとか様になった顔を鏡で確認して普段通り髪をセットする。そして、あることに気づく。
―柊は何て言ってくれるだろう。
気が付くとそんな思いが琴葉の胸の中に広がっていく。
昨日もそうだったが、まだ出会って数日しか経過していないのにも関わらず、柊のことで頭がいっぱいになっている。こんなことは通常の琴葉ならばまずない。
久しぶりにキスをしたから?いや、その前からだ。柊と初めて一晩を過ごした(何もなかったようだけど)あの日から―。
着替えが終わり、昨日買ってもらった化粧品たちをリビングで眺めていた。出社までは時間がある。
ソファに座る柊の斜め前に腰かけて化粧をしていこうか迷っていた。そんな琴葉に気が付いたのか、柊が琴葉に目を向ける。
「どうした」
「いえ、化粧をしようか…迷っていて」
「するの一択だろ」
「…そうですよね」
「お前はお前のために、すればいいんだよ」
「…」
「努力する奴を笑うような社員は少なくともうちのチームにはいない。いるなら俺が許さない。だからしたいようにしたらいい」
「…わかりました」
上司の顔を見せる柊に自然に口角が上がっていることに気づく。昨日は、“一式ください”と柊が言ったのをいいことにブラシなどのツールも当然のように会計に含められていた為、高級ブラシがいくつか琴葉の目の前にある。
出社まで時間があるとはいえ、慣れていない化粧でおかしくなったら元も子もないから当初考えていた通りファンデーションとフェイスパウダー、アイブロウだけを施す。
それでも30分はかかってしまった。
…慣れないと朝から早起きしないといけないようだ。
なんとか様になった顔を鏡で確認して普段通り髪をセットする。そして、あることに気づく。
―柊は何て言ってくれるだろう。
気が付くとそんな思いが琴葉の胸の中に広がっていく。
昨日もそうだったが、まだ出会って数日しか経過していないのにも関わらず、柊のことで頭がいっぱいになっている。こんなことは通常の琴葉ならばまずない。
久しぶりにキスをしたから?いや、その前からだ。柊と初めて一晩を過ごした(何もなかったようだけど)あの日から―。