視線が絡んで、熱になる【完結】
営業第一部のデスクに行くと既に柊の姿があった。
(…あれ、早いなぁ)

「おはようございます」
「おはよう~今日は一日中打ち合わせだよ。この間の理道の件」
「はい、涼さんのスケジュール確認していたのである程度は把握しています」

涼が隣に座る琴葉を見て一瞬驚いたように眼を見開いた。

「へぇ~さすがだね。それに今日はちょっと雰囲気が違う気がするなー」
「そうですか?」

涼が気づくほどの化粧はしていないのに(男性は女性の変化に鈍感だとよく聞くが)彼は気づいたようだ。

「琴葉ちゃんってさ、コンタクトにしないの?」
「コンタクトですか?」
「そうそう」

パソコンのログイン画面が表示される。ログインしたらパソコンのログがすべて残るようになっている。
琴葉はログインパスワードを入力しながら、首を横に振る。
ログインしたのを確認して体ごと涼の方を向けた。

「しませんね。持ってないです」
「どうして?眼鏡の方が好きなの?」
「うーん、そういうわけでは…」

困ったようにこめかみを指で搔くような仕草をすると、突然涼の手が琴葉の顔に伸びてきた。
驚く間もなく涼が勝手に琴葉の眼鏡を外した。
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