視線が絡んで、熱になる【完結】
一瞬、遅れてしまったのかと固まったが
「お疲れさまでーす」
「お疲れ様です」

涼の軽い挨拶を聞いてそうではないことを悟りほっと胸を撫でおろした。
男性が二人、女性が一人、それぞれコの字に並べられている長机に腰かけている。彼らと正面になるように琴葉と涼がパイプ椅子を引いて座る。
涼は三人と仲がいいようで(三人とも二十代に見える)他愛のない会話を少しだけするとすぐに琴葉に目を向ける。
目が合った瞬間、小さく頭を下げた。

「今月から営業第一部に配属になりました、藍沢と申します。よろしくお願いいたします」
「はじめまして。僕は企画に来て三年目の藤宮です」
「はじめまして、私は去年から企画で働いています。武藤朱里です」
「こんにちは、丸井です。僕も去年から企画に異動してきました。でも今年で8年目なのでこの中では年長者かな」

それぞれが挨拶をする。若いように見えたけど丸井が琴葉よりもずっと年上だということに驚く。
藤宮は縁なし眼鏡が印象的な知的そうな男性で、武藤はおっとりしているように見える癒し系の女性だ。そして丸井は涼と似たような雰囲気を持ったイケメンだった。
軽い挨拶をして、本題に入った。
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