視線が絡んで、熱になる【完結】
じっと見ているのに、一切視線が絡むことはなかった。
コーヒー牛乳の紙パックを時折手にしてストローからそれを口内へ流し込むのを柊はただ観察していた。
どのくらいそうしていたのか、気づくと日が沈みかけていてカフェテリアスペースには照明が日光の代わりをしていた。
彼女はすっと立ち上がるとそのまま「よいしょ」と小さな声を出してリュックを背負って帰っていく。

「なんだ、あれ…」


確かに蓮の言った通り、あんな生徒は珍しい。それだけではない。

普通は周りを気にしそうなものなのに、全く気にせず勉強だけをしていた。それが本来の学生のあるべき姿なのかもしれないが、もう少し友人を作ったりサークルに入ったり何か大学生にしか出来ないことをしてもいいのでは、と思ったがそんなことを彼女に助言する立場にない。
というか話したこともない。

少し気になったが、それもすぐに記憶から消えていくだろう、そう思っていた…―。

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