視線が絡んで、熱になる【完結】
と、言ってもただ勉強しているだけで何もないのだが。
柊自身も、専門書を読みゼミの発表に備えるため勉強をする。
と、ようやく彼女が顔を上げた。疲れたのか、首を左右にストレッチするように伸ばし、背伸びをした。
新たな動きに凝視してしまいそうになるが、よく考えると彼女の行動はいたって普通なのだ。

「…はぁ、」

小さな声を出して参考書類を相変わらずデカいリュックへ詰める。
詰め終わると、柊の方を見ることなく帰っていく。
その日から柊は時間があれば彼女の近くで勉強するようになった。
合コンの日も、飲み会の日もそれらを断ってまで彼女の近くで彼女を観察しながら勉強する。
よく考えなくても、自分の行動は意味不明だし下手をすると“ストーカー行為”と認定されそうなのにも関わらず、それでも彼女について知りたいと思うようになった。
それだけではない。あの微妙な距離感の中、勉強する空間が好きだった。
居心地がいいとはこういうことを言うのか、と思ったくらいだ。


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