視線が絡んで、熱になる【完結】
♢♢♢

その日は、カフェテリアスペースで勉強をしていたようで彼女を見つけると普段通り近くに座って柊も専門書を開いた。
が、すぐにその手が止まる。
何故なら、彼女の雰囲気が少し変わっていたからだ。
髪型は普段通りだが、服装が変化した。体のラインを強調するようなトップスに下はスカートだった。
女性が変化をするとき、それは大概は恋をした時ではないか。
全員がそうとは言えないが、少なくとも彼女はそうだと思った。
そして、もう一つ変化に気づく。それは携帯を気にしている素振りをみせていたことだ。

そんなことは今までなかったのに。

―誰かが、彼女の視界に入ったんだ

そう悟った時、無性に腹が立ったし、イライラした。このような感情を柊は知らなかった。

それからというものの、彼女は物凄いスピードで綺麗になっていた。
髪は緩くウェーブがかかっていて、服装も変わった。それだけでなく、化粧もしていた。
普段の柊の周りに寄ってくる女性の変化など気にしたことはなかったのに。

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