視線が絡んで、熱になる【完結】
こうやってジョブローテーションで部署が変わると、新入社員時代を思い出す。
あの時も朝から緊張してお茶を喉に流し込んでも何の味もしなくて手も震えるしお腹の奥が痛む。
琴葉以外は皆、“普通”に見え、自分だけが緊張しているのではと思い、その余裕が羨ましく思えた。
しかし、今思い返すとあれはそういうふうに見せていたのだと思う。
だから今日は琴葉自身が胸を張って余裕を醸し出してやろうと思っていた。が、どうやらそうは見えないらしい。
「大丈夫か」
「っ」
「顔色、悪いけど」
不意に背後から不破マネージャーに話しかけられピンと背が伸びる。大丈夫です、とすかさず返事をすると、そのまま自分のデスクへ戻っていく。
明らかに他の社員と比べてオーラが違う。仕事ができる人ってどんな人だろうと考えたことがあった。
仕事を早くこなせる人、正確にこなせる人、アウトプットが出来る人、求められること以上の成果を出す人、どれも抽象的に感じていた。
しかし、不破柊マネージャーはそれらすべてを網羅しているように感じた。鋭い目つきからもそれはヒシヒシと伝わる。
奏多が不破マネージャーのデスクへ何やら資料を見せていた。
それを見てすぐに「この文章の意味は?クライアントとの打ち合わせで一番重要なのは、相手が何を求めているか、だ。その上で商品を売れる広告の提案をする。これじゃあ、既存の広告と変わらないんじゃないのか」と詰め寄っているのを見て冷や汗が出た。
本当にやっていけるのか、心配だ。
あの時も朝から緊張してお茶を喉に流し込んでも何の味もしなくて手も震えるしお腹の奥が痛む。
琴葉以外は皆、“普通”に見え、自分だけが緊張しているのではと思い、その余裕が羨ましく思えた。
しかし、今思い返すとあれはそういうふうに見せていたのだと思う。
だから今日は琴葉自身が胸を張って余裕を醸し出してやろうと思っていた。が、どうやらそうは見えないらしい。
「大丈夫か」
「っ」
「顔色、悪いけど」
不意に背後から不破マネージャーに話しかけられピンと背が伸びる。大丈夫です、とすかさず返事をすると、そのまま自分のデスクへ戻っていく。
明らかに他の社員と比べてオーラが違う。仕事ができる人ってどんな人だろうと考えたことがあった。
仕事を早くこなせる人、正確にこなせる人、アウトプットが出来る人、求められること以上の成果を出す人、どれも抽象的に感じていた。
しかし、不破柊マネージャーはそれらすべてを網羅しているように感じた。鋭い目つきからもそれはヒシヒシと伝わる。
奏多が不破マネージャーのデスクへ何やら資料を見せていた。
それを見てすぐに「この文章の意味は?クライアントとの打ち合わせで一番重要なのは、相手が何を求めているか、だ。その上で商品を売れる広告の提案をする。これじゃあ、既存の広告と変わらないんじゃないのか」と詰め寄っているのを見て冷や汗が出た。
本当にやっていけるのか、心配だ。