視線が絡んで、熱になる【完結】
「とりあえず!食べましょう!冷めないうちに」
「そうだね」

運ばれてきたてんぷらの盛り合わせは確かにどれもおいしくてお酒に良く合う。涼が早く日本酒を頼みたいようで柊が早く来ないか何度も時計を確認していた。

「不破マネージャーと琴葉ちゃんか~お似合いだな」
「…え、そんなことは絶対にないです」
「そう?似合うけど。だって眼鏡取ったら可愛いし。いや、眼鏡してても可愛いよ?でも外した方が俺好み」
「…」

涼の頬は琴葉よりも赤い。相当酔っていることは誰の目から見ても明らかだ。
そして、突然琴葉の眼鏡を取る。
急に視界がぼやけて見えなくなる。これを涼にやられるのは二度目だ。妙に子供っぽいようなところがある。

「ちょっと!涼さん!やめてください!」
「んー、コンタクトにしよう!ね?」
「勝手に決めないでください!とにかく返して―…!」

涼の手首を掴んで返してもらおうとしていると、個室のドアが開く。

「…何してるんだ、お前たち」
「…あ」

柊の不機嫌そうな声が聞こえる。すぐに涼が琴葉に眼鏡をかけてにんまりと妙な笑みを浮かべる。琴葉は、一人であたふたするが涼はいたって普通だった。
柊は琴葉の隣に座り、ビール、と一言いい放つ。
琴葉がすぐに店員を呼んでビールとその他てんぷらを中心に注文をする。

(どうして機嫌が悪そうなのだろう…)
不安げに柊にチラチラと視線を向けるがそれが交わることはない。

「今、ちょうど琴葉ちゃんの話してたんですよ」
「藍沢の?」
「そうです。琴葉ちゃん綺麗になったような気がして何か理由があるのかなって」
「…涼さん!!何言ってるんですか?やめてください!!」
「だって本当のことじゃん」
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