視線が絡んで、熱になる【完結】
またあの目で、あの手で、あの声で、包み込んでほしい、そう思っていた。
既に何度か来ているマンションを視野に捉えた途端、大きくなる鼓動。
「随分新木と仲いいな」
「…はい?」
「だから、随分新木と仲いいんだな」
「…はい、まぁ…新木さんから仕事を教えてもらっているので」
「そういう意味じゃない」
エントランスドアを抜けて、ひんやりと冷たい声を浴びせられる。
そういう意味じゃないとは、どういうことなのだろう。
琴葉は疑問符を浮かべながらも、飲みの席からずっと機嫌のよろしくない柊の心の内を知りたいと思った。今だけじゃない、全てを知りたい。
柊の後に続くようにして家に入る。相変わらず人が住んでいるとは思えないほど綺麗な部屋は家政婦が日中掃除に来ているのだろう。
数日ぶりの柊の部屋に緊張とドキドキがピークに達した。
「シャワー浴びるか?」
「はい…」
背広を脱ぎながらそう言った柊の流すような視線は艶やかで色気がある。
(…ドキドキして倒れそう)
広々としたリビングから寝室へ移動する柊の目で追いながら琴葉もジャケットを脱いだ。
戻ってきた柊は、琴葉の持ってる大き目の荷物に目を向けて疑問をぶつける。
「そういえば、なんだ。その荷物」
「…あ!えっと…これは…」
そうだった。琴葉はすっかり忘れていたお泊りセットの存在を咄嗟に背後に隠した。
しかしこの行為が余計に気になったのか柊は無言で琴葉に近づくともう一度「それは何だ?」と訊く。
ボソボソと柊に向けて説明する。
穴があったら入りたい、とはまさしくこのことだ。
既に何度か来ているマンションを視野に捉えた途端、大きくなる鼓動。
「随分新木と仲いいな」
「…はい?」
「だから、随分新木と仲いいんだな」
「…はい、まぁ…新木さんから仕事を教えてもらっているので」
「そういう意味じゃない」
エントランスドアを抜けて、ひんやりと冷たい声を浴びせられる。
そういう意味じゃないとは、どういうことなのだろう。
琴葉は疑問符を浮かべながらも、飲みの席からずっと機嫌のよろしくない柊の心の内を知りたいと思った。今だけじゃない、全てを知りたい。
柊の後に続くようにして家に入る。相変わらず人が住んでいるとは思えないほど綺麗な部屋は家政婦が日中掃除に来ているのだろう。
数日ぶりの柊の部屋に緊張とドキドキがピークに達した。
「シャワー浴びるか?」
「はい…」
背広を脱ぎながらそう言った柊の流すような視線は艶やかで色気がある。
(…ドキドキして倒れそう)
広々としたリビングから寝室へ移動する柊の目で追いながら琴葉もジャケットを脱いだ。
戻ってきた柊は、琴葉の持ってる大き目の荷物に目を向けて疑問をぶつける。
「そういえば、なんだ。その荷物」
「…あ!えっと…これは…」
そうだった。琴葉はすっかり忘れていたお泊りセットの存在を咄嗟に背後に隠した。
しかしこの行為が余計に気になったのか柊は無言で琴葉に近づくともう一度「それは何だ?」と訊く。
ボソボソと柊に向けて説明する。
穴があったら入りたい、とはまさしくこのことだ。