エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「真佳奈、来週の火曜日から外務省の男性が出向してくるんだが、その日夕食に招待したいと思っている。どうだろうか？」

「かまわないわ」

　父はときどき領事館員を家に招待して食事をする。

「真佳奈の予定はどうだね？」

「ふふっ、お料理を作ってほしいのね？　年はいくつくらい？　料理の好き嫌いはあるかしら？　火曜日は一時間早く帰宅するようにするわ。十九時なら大丈夫よ」

　月曜日に下準備をしておけば帰宅後すぐに取りかかれるから問題ないだろう。

　父はお客様に対してはメイドよりも私に作ってもらいたいのだ。私は父の異動のたびにその国の料理を習っていて、振る舞うたびになかなかの腕前だと褒められている。

「いや、料理をしてほしいんじゃないんだが……。たしか、年は三十二歳だったか」

　本音を隠そうとする父に笑みを浮かべる。

「意外と若いのね。いいの。ホステスとして張りきってお料理するわ。どんな料理がいいかしら？」
「お前に任せるよ。凝りすぎないでいいからな」

「はい。わかりました」

　今日は金曜日。次の日曜日と月曜日は仕事が休みだから、市場やスーパーを巡ろう。


　翌朝、ミランダは時間通りにやって来て私たちは勤務先のホテルへ向かった。
　駐車場に入ったところで、ひときわ目立つ黒の大型ＳＵＶ車が目につく。

「あれはハーキム氏のじゃない？」

　ミランダも気づいたようで、少し手前で車を止めた。
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