エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
男性の方へ振り返ろうとしたが、目の端に父を捉えて息をのんだ。
そうだ、彼はひとりではなかったのだ。
「真佳奈、いったい何事だったんだ? あの男性は?」
「お父さん……」
「今にも飛び出しそうな浅丘領事を説得して、車に残ってもらったんだ。万が一を考えて」
私は男性の説明にうなずく。
見知らぬアラブ人がいたら領事である父の身の安全を考えるのがあたりまえだ。
「ご迷惑をおかけしました」
イケメンすぎる彼に頭を下げる。
「真佳奈、早く家に入りなさい。車の鍵を。月(つき)城(しろ)くんをリビングへ案内しなさい」
「はい……」
手を差し出す父に車の鍵を渡し、〝月城〟と呼ばれた彼へ視線を向ける。やはり日本人で、今日のお客様だったんだ。
「どうぞこちらです」
通用門から敷地内へ足を運ぶ。
気まずい雰囲気が流れている気がするのは私だけ?
先ほど抱きついてしまったし、それを父も見ていたはず……。咄嗟の機転のつもりだったけれど、今は決まりが悪い。
月城さんはゆったりとした足取りで家の中へ入った。
明るいライトの下で見る彼の顔はさらにイケメンすぎて、迫力のある美男子だった。
「リビングのソファで待っていてください」
十人は並んで座れる白いソファを手のひらで指す。
「礼もないのか?」
月城さんの声は冷たく聞こえた。
そうだった。父がすぐにやって来たからお礼も口にしていない。
そうだ、彼はひとりではなかったのだ。
「真佳奈、いったい何事だったんだ? あの男性は?」
「お父さん……」
「今にも飛び出しそうな浅丘領事を説得して、車に残ってもらったんだ。万が一を考えて」
私は男性の説明にうなずく。
見知らぬアラブ人がいたら領事である父の身の安全を考えるのがあたりまえだ。
「ご迷惑をおかけしました」
イケメンすぎる彼に頭を下げる。
「真佳奈、早く家に入りなさい。車の鍵を。月(つき)城(しろ)くんをリビングへ案内しなさい」
「はい……」
手を差し出す父に車の鍵を渡し、〝月城〟と呼ばれた彼へ視線を向ける。やはり日本人で、今日のお客様だったんだ。
「どうぞこちらです」
通用門から敷地内へ足を運ぶ。
気まずい雰囲気が流れている気がするのは私だけ?
先ほど抱きついてしまったし、それを父も見ていたはず……。咄嗟の機転のつもりだったけれど、今は決まりが悪い。
月城さんはゆったりとした足取りで家の中へ入った。
明るいライトの下で見る彼の顔はさらにイケメンすぎて、迫力のある美男子だった。
「リビングのソファで待っていてください」
十人は並んで座れる白いソファを手のひらで指す。
「礼もないのか?」
月城さんの声は冷たく聞こえた。
そうだった。父がすぐにやって来たからお礼も口にしていない。