エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
 すっかり月城さんはふたりに気に入られたようだ。たしかに外国人の血が入っているのではないかと思うほど、鼻梁は高いし、彫りが深くてイケメンだ。

「んんっ」

 咳ばらいをすると、彼女たちは肩をビクッと跳ねさせた。

 自分が恋バナに花を咲かせている女子高校生を窘(たしな)める教師みたいだ。

「ミズ・マカナ!」

「毎日が楽しくなるのはいいけど、彼は仕事で来ているの。話しかけられたとき以外は遠慮してね」
 彼女たちの背後からアラビア語でやんわり忠告する。

「怒っているわけじゃないわ。バミヤとカルパッチョを出してね。私はライスコロッケを揚げるから」

 ガスコンロの前へ行き油の入った鍋を火にかけて、隣のコンロに入っているトマトソースも一緒に温めた。


 まん丸いフォルムのライスコロッケをトマトソースの上にのせたお皿を運び、父たちのもとへ戻る。

 父と月城さんは話をしていたが、私の姿に言葉を切った。

「真佳奈、悪いな」

「ううん。月城さん、お口に合っているといいのですが」

「十分堪能していますよ。真佳奈さんは料理が上手なんですね」

 バミヤや魚介類のカルパッチョも食べてくれていたようだ。

「ほとんどは彼女たちが作ったので……。アレルギーや嫌いなものがあったら教えてください」

 思いがけず褒められて、頬に熱が集まってくる。

「ありませんが、二週間の滞在は迷惑では?」
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