エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
 新しいカードキーを二枚取り出し、使えるように作成して手渡す。カードキーには部屋番号が入っていないので、番号が書かれた紙ケースごと落としていなければ盗みなどはないだろう。

「カードキーの入っていた紙ケースは一緒に落とされたのでしょうか?」

「いいえ。ケースは部屋に置いてあります。ありがとうございます! 話が通じなくて困っていたんです。僕たち英語はからきしで」

「お役に立ててよかったです。ほかにお困りになってはいませんか?」

「みっくん、夕食は大きな水槽のレストランに行きたいわ」

 隣にいた彼女は男性の腕に手を置き、思い出したように言う。

「『オーシャンズ』ですね」

 テーブルの横に巨大水槽があり、水族館のようにサメや大きな魚、熱帯魚が泳いでいるのを眺めながらおいしい食事ができる、わがホテル人気のレストランだ。

 友人の誕生日を祝いに一度だけ行ったことがあり、こんな素敵なところに恋人と来られたら幸せいっぱいだろうなと思った。

「すみません。今夜予約できますか? 新婚旅行なんですが、食事のオプションをつけていなくて、今のままだとファストフードばかりに」

「ご結婚おめでとうございます。確認させていただきますね」

 運よく十八時に空きがあり、すぐに予約を完了させた。

「ありがとうございます。助かりました」

 ふたりはあきらかに海外旅行に慣れていない様子だ。
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