エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
 四日後、月城さんは帰国だ。短い二週間の滞在で、今まで過ごしてきた中で一番濃い時間だった。

 でも、月城さんがここから去れば私はこれまでと同じ生活をして、いつしか彼と結婚していたことすら忘れる。

 ……本当に忘れられるの?

 ため息が次から次へと止まらず、もう寝てしまおうかと思ったとき、ドアがノックされた。のそっとベッドから降りてドアを開ける。

 月城さんだと思っていた私は父の姿にがっかり。……私、がっかりしたの?

「お父さん、入って」

 何気なさを装い、父を部屋に招き入れてベッドの端に座ってもらい、私も隣に腰を下ろして父を見やる。

 私の部屋に来るなんて滅多にないので、緊張した面持ちで背筋をピンとさせた。

「真佳奈、いろいろ大変だったな」

「お父さん……」

「ハーキム氏のような男に近づいてこられたら怖かっただろうと、胸が痛むよ」

「パーティーに行かなければよかったと何度も後悔したわ。でも月城さんのおかげで、気にしないで暮らせる」

 私はやんわり笑みを浮かべる。

「あきらめてもらうには仕方がなかったとはいえ、入籍をしたんだ。ショックを受けていないかと思ってね」

「私は古い時代の人間じゃないわ。バツイチなんて結構いるもの。私よりも月城さんの戸籍を汚してしまって申し訳なくて……。帰国する前にお父さんからもお礼を言ってね」

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